回収技術開発への挑戦
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブルでは、海洋ごみの実効的な回収を目指して、国内外で回収技術の開発・実証を進めています。海上、河川、国内、国外で挑戦を行ってきました。

海上(小豆島)|低コスト回収装置でのマイクロプラ回収
香川県小豆島東沖では、漁師の知見を活かしてホットスポット海域にV字型の簡易装置を設置。21日間の実証実験で、71個のマイクロプラスチックを回収しました。
使用技術
- 漁網・フロート等で構成された自然流利用のV字型バリア
- 地元の資材で製作した低コスト・省エネ構造
成果
- 71個のマイクロプラスチックを回収
- 定置回収型で海上の微小ごみも捕集可能と実証
海上(モザンビーク)|海外初の装置展開と国際連携
アフリカ・モザンビーク沖で、改良型回収装置を活用し、海洋プラスチックの国際実証を実施。現地漁業者と連携して装置設置を行い、54.5gの海洋ごみを回収しました。
使用技術
- 日本製回収装置を現地用にカスタマイズ(網の深さや重りの調整)
- 波・潮流に応じた角度調整と安全性強化
成果
- 現地の漁業者たちと協働し、海上で2回、河川で1回の実証実験を安全に完了
- 地域コミュニティと連携した現場での検証が、現地環境における技術展開の可能性を証明
連携
- 現地漁業者と協力して設置・回収を実施
- 現地NGOへの移管構想も展開
河川(高松)|kawasemi 001で川から海への流出防止
香川県高松市の詰田川では、「kawasemi 001」と名付けた回収装置を開発・設置。第一回実証では約1.8kgのごみを捕集し、海洋流出前の回収効果を検証しました。
使用技術
- 少人数で設置可能なフロート+網の軽量構造
- 川の流れをウィングで導き、岸のポケットへごみを誘導
成果
- 約1.8kgの河川ごみ(硬質プラ、缶など)を捕集
連携
- 大学と共同研究、瀬戸内の河川特性に対応
- 協賛・寄付での資金調達と広報発信体制の構築
6法人合同回収活動|産学官民・漁業連携で実証
2024年、小豆島沖で6団体による海上実証を実施。4船が連携し、大型回収ネットを曳航。強風下ながら、マイクロプラスチックの回収を確認しました。
使用技術
- 船舶で曳航する能動的回収ネット(トロール形式)
- 短時間で広範囲の海域を掃討可能
成果
- 海上での曳航によりマイクロプラスチックを捕捉
- 多分野チームの連携と情報共有を実証
連携
- 漁協・大学・海運企業・地元企業など6団体が参画
- 海域汚染の科学的把握と行動実験の融合
未来への展望
これらの活動を通じて、クリーンオーシャンアンサンブルは「低コスト・地域主導型・データ連携型」の回収モデルを国内外で実現してきました。今後はさらに長期設置、データ活用、装置の普及展開を通じて、河川から海底までの全ての領域において、プラスチック問題解決に挑み続けます。