放置されている海上・海底の海洋ごみを回収する

約8割の海洋ごみは海上・海底に放置されています。

海洋プラごみは半永久的に分解されず、海洋環境悪化・経済損失等悪影響を及ぼし続けるので、回収しなくてはいけません。

私たちは、今まで放置されていた回収困難性海洋ごみの回収技術開発・持続的回収の仕組み作りに挑戦しています。

海岸・海上・海底の海洋ごみが溜まるHOT SPOTを対象とした漂流・漂着パターンを調査し、そのデータを基に効率的な海洋ごみ回収装置の開発・実証実験を繰り返しています。

最終的には、他エリアでも展開可能な回収装置を多くの方に使っていただき、今まで回収困難だった海洋ごみの回収量を世界的に増加させることを目標にしています。

回収装置1号機

1号機は、回収装置を海に設置し、海上に浮いているごみを網で捉え、引き上げ、回収することを想定した回収装置です。

最初の実証実験ということもあり、全長5mという簡易的な装置を使われていない大きな球ブイ・網・ロープを手作業で縫い合わせ、製作しました。

実証実験の結果として、一号機で海洋ごみ回収はできず、回収量0で引き上げました。

一号機での実証実験で判明した課題は以下の通りです。

・5mではカバーできる範囲が小さい。

・網にかかっても捕獲できず、リリースされる。

・球ブイ間のロープが弛んでしまい、海面を流れるごみが通り過ぎる。

・設置ポイント付近にごみが無かった。

回収装置2号機

2号機は、海洋ごみが溜まるHOT SPOT海岸の前に設置し、潮流や風等の自然の漂着エネルギーを利用することによるごみ回収を想定した回収装置です。

1号機とは設置ポイントを変え、海洋ごみが溜まるHOT SPOT海岸前に設置しました。

1号機の課題を踏まえ、以下のように装置を改善しました。

・全長は20m

・球ブイではなく紐に通す紐ブイを使用

・装置中央にごみを捕獲する回収ポケットを製作

・回収ポケットの容量は0.3m3

20日間設置して、回収できた海洋ごみはプラ破片6個という結果になりました。想定通りの回収結果にはなりませんでしたが、2号機の実証実験で判明した課題は以下の通りです。

・紐ブイと紐ブイの間に少しスペースが生まれてしまったため、ごみを堰き止められなかった。

・回収装置にごみが入った条件と時期がわからなかった。

・中央の回収ポケットの入り口や容量が小さすぎた。

・Iの字設置のため、中央の回収ポケットに誘導する力が弱かった。

回収装置3号機

3号機は、2号機と同じポイントに設置しました。

2号機から装置自体を改善し、PDCAのCを強化し、回収ポケットに入るタイミング・条件調査に力を入れました。

2号機の課題を踏まえ、以下のように装置を改善しました。

・3Dモデリング図面導入。

・全長は30m。

・紐ブイを継続使用し、紐ブイ間の間隔を狭める。

・中央回収ポケットの容量は9m3。

・漂流ごみを中央に誘導するために、回収装置をIの字設置ではなく、若干Uの字に設置。

・入口の浮力確保のために竹と卵ブイを使用。

2号機の調査課題から、以下のように実証実験を改善しました。

・対象HOT SPOT海岸の漂着ごみ量の変化を記録するため、3個の定点カメラで1時間毎のタイムラプス撮影。

・回収ポケット内の海洋ごみ捕獲状況記録のため、日々の水中ドローン動画撮影。

・Windy.comでの対象HOT SPOT海岸のマクロデータ取得(潮流・風・波・水温・潮汐・天候etc…)

20日間設置して、回収できた海洋ごみはプラ破片8個という結果になりました。想定通りの回収結果にはなりませんでしたが、3号機の実証実験で判明した課題は以下の通りです。

・実証実験期間中に漂流しているごみ量の少なかった。

・冬の透明度と海水温の低さから浮遊物が少なかった。

・季節による風向の変化を把握していなかった。

・回収装置を潮流が外れている場所に設置していた。

・浮力確保のため竹で浮かせたが、逆に入口を妨げるように見えた。

・海面のブイを繋ぐロープとロープの間が沈んでいてごみを堰き止める力が弱かった。

・Uの字の角度が足りず、中央の回収ポケットに誘導する力が弱かった。

・日々の水中ドローンで捕獲海洋ごみを確認できず、マクロ・ミクロデータとの相関関係の調査ができなかった。

4号機に向けた動き

4号機での実証実験成功のために、日本の知見を集める旅をしています。

4号機の成功基準としては、回収装置のプロトタイプ完成です。具体的な指標としては、20日間の設置で自然の力による合計1kgの海洋ごみ回収量達成と海上回収に関わるマクロ・ミクロデータ・設置ポイント・発動条件の相関関係調査です。

これによりプロトタイプのスケールを上げれば回収量増加を見込めるという状態を目指しています。

3回の実証実験ができたのは、多くの方に支えられてきたからに他なりません。本当に私たちの想いやビジョンに賛同・ご協力いただきありがとうございます。

しかし、一方でなぜ今まで誰もできなかったのかと、私たちだけでは力不足というのがよくわかった3回の実証実験でした。

今まで放置されていた海洋ごみの効率的な回収装置を開発し、海外を含めた他エリアで展開することで、回収困難性海洋ごみの回収量を増やし、日本の海洋ごみ問題解決の活動と貢献を世界にアピールしていきたいと考えています。

持続的に回収装置を開発していく上で技術・人材・資金を集めています。回収装置開発と新しいビジネスモデル構築のために、ご紹介・知見の共有等、ご協力いただける方を探しています。