海洋ごみ問題を知る
海洋ごみ問題は、私たちの生活に深刻な影響を及ぼしています。世界の海には既に約1億5,000万トンのプラスチックごみが存在し、毎年少なくとも800万トンが新たに流入しています(出典:WWFジャパン)。
このままでは、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えると予測されています(出典:IDEAS FOR GOOD)。
日本からも年間約2万~6万トンのプラスチックごみが海に流出していると推計されており(出典:公益財団法人日本財団)、海洋ごみの65%以上をプラスチックが占めています。これらのごみは、ウミガメや海鳥、クジラなど少なくとも700種の海洋生物に被害をもたらし、その92%がプラスチックごみによるものです(出典:公益財団法人日本財団)。
さらに、プラスチックは劣化して微小なマイクロプラスチックとなり、海洋生態系や人間の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
海洋ごみ問題は地球規模で進行しており、海洋汚染をなくしながらプラスチックを使い続けられる未来を実現するためには、一般消費者、国連、国家、企業、NGOなどが分野の垣根を越え、海洋へのごみ流出量を減らし、既に流出している海洋ごみの回収量と再資源化量を増やすことが重要です。
研究目的
従来の3R(Reduce・Reuse・Recycle)は尊重しつつ、回収(Recovery)に着目し、海洋ごみのオフセットによる実質ゼロを目指す
海洋ごみ排出量ランキング(2010年)

出典:
Jambeck, J.R., Geyer, R., Wilcox, C., Siegler, T.R., Perryman, M., Andrady, A., Narayan, R., Law, K.L., Science, 2015, 347, 768-771
プラスチック循環利用協会, 2022, 『2021年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図』
*UMI(Upper-Middle Income):高中間所得国、LMI(Low-Middle Income):低中間所得国、LI(Low-Income):低所得国
なぜ小豆島が海洋ごみ回収の実証実験に適しているのか?
(1) 海岸・海上での検証ができる環境
小豆島の漁業協同組合の協力のもと、海岸及び海上での検証ができる環境が整っています。

(2) 行政が海洋ごみの処理費用を負担
香川県では、処理責任が明確でない海洋ごみを行政が処理費用を負担しているため、回収した海洋ごみを無料で処分できます。

(3) 日本由来の海洋ごみが多い
瀬戸内海の海洋ごみの約93%は日本産である。瀬戸内海の海洋ごみの年間総流入量は4,500トン/年で、このうち3,000トン/年(66%)が陸からの流入、1,200トン/年(27%)が海域での発生、そしてわずか7%の300トン/年が外界からの流入と見積もられています*。したがって、海洋ごみの回収を海外からの流入による問題ではなく、自分事として捉えることができます。
*藤枝 繁, 星加 章, 橋本英資, 佐々倉諭, 清水孝則, 奥村誠崇, 沿岸域学会誌, 2010, 22, 17-29
