海洋ごみゼロに向けたマイルストーン
海洋ごみを減らす人たちとともに。
流出してしまったごみは、私たちが回収していく。
海洋ごみ問題の解決には、「新たなごみの流出を減らすこと」と、「すでに自然環境へ流出し、蓄積したごみを回収すること」の両方が必要です。
企業、行政、廃棄物管理事業者、研究機関、地域団体などが、新たな流出量の削減を主導する一方で、私たちクリーンオーシャンアンサンブルは、すでに流出してしまった海洋ごみの回収を担います。
河川、海岸、海上、海底に存在するごみを回収し、分別・計量・記録し、可能なものを再資源化につなげる。回収量を増やし、その成果を可視化・証明し、継続可能な仕組みとして広げていく。それが、私たちの役割です。
海洋ごみの蓄積量と、流出量、回収量の関係は、式で次のように表すことができます。

これは、対象範囲、期間、重量単位をそろえた流出量と回収量の収支を示す基本的な考え方です。
流出量と回収量が同じであれば、海洋ごみの蓄積量は増えませんが、すでに存在するごみも減りません。回収量が流出量を上回る状態を継続し、「回収量-流出量」の累積値が初期蓄積量以上になったとき、モデル上、その対象範囲の蓄積量はゼロに近づきます。

私たちが目指す「海洋ごみゼロ」とは、一度だけ海をきれいにすることではありません。
流出量を減らす取り組みと、流出済みごみを回収する取り組みが両輪となり、社会全体で年間回収量が年間流出量を継続的に上回り、過去から蓄積してきた海洋ごみが減り続ける状態をつくることです。
小豆島から始まった挑戦を、世界の海を取り戻す大きなアンサンブルへと広げていきます。
2020年
小豆島から、海洋ごみゼロへの挑戦が始まる
2020年12月、香川県小豆島を拠点に、NPO法人クリーンオーシャンアンサンブルを設立しました。
海洋ごみの回収、調査、技術開発、再資源化、啓発を組み合わせ、現場から海洋ごみ問題の解決に挑む活動を開始しました。
地域の海を守る小さな一歩から、世界の海洋ごみゼロを目指す長期的な挑戦が始まりました。
2021年
現場から学び、海洋ごみ問題の本質を知る
国内各地で行われている幅広い海洋ごみ回収活動を実践・調査し、海洋ごみがどこから来て、どのように移動し、どこに蓄積しているのかを現場で学びました。
人の手で拾う活動の大切さを実感する一方で、既存の方法だけでは、すでに自然界へ流出した膨大な量のごみを回収しきれないという現実にも直面しました。
また、回収場所、回収量、ごみの種類、処理先などが十分に記録されず、個々の活動が社会全体のインパクトとして見えにくいという課題も明らかになりました。
この経験から、回収活動を続けるだけでなく、より効率的に回収し、その成果を記録・可視化・証明し、再資源化につなげる仕組みが必要だと考えるようになりました。
2022年
低コスト回収装置の開発に着手。失敗から学ぶ実証の年
すでに海へ流出したごみを、より効率的に回収するため、入手しやすい素材を活用した低コストの浮遊式回収装置の開発を開始しました。
小豆島沿岸で回収装置No.1からNo.3までを試作し、海上での実証に挑戦しましたが、最初の実験は成功しませんでした。
波、潮流、風、漂流物、耐久性、安全性、設置方法など、自然環境の中で技術を運用する難しさに直面しました。
この失敗を通じて、現場で使える回収技術には、装置そのものの性能だけでなく、安全性、運用性、費用対効果、地域との協働が欠かせないことを学びました。
2023年
海上実証に成功し、回収・可視化・再資源化の基盤が生まれる
改良を重ねた回収装置No.4からNo.6を開発・運用し、海上での回収実証に初めて成功しました。
ごみが漂流・集積する場所を調査し、自然の流れを活用しながら回収する手法の可能性が見えてきました。
同時に、回収場所、回収量、ごみの種類などを記録・可視化する「海洋ごみMAP」の構想を開始しました。回収したごみを資源として活かすため、素材別の再資源化パートナーとの連携も始まりました。
累計回収量は1,000kgを超え、活動は「拾う」ことから、「回収し、記録し、資源として活かす」仕組みをつくる段階へ進みました。
2024年
MAP・回収支援証明書・河川回収装置へ。活動を仕組みに変える
海洋ごみの回収場所、量、種類を可視化する「海洋ごみMAP」のプロトタイプを公開し、アプリとWebマップを通じて活動データを記録・共有できる仕組みを整えました。
企業や個人による回収活動への支援を可視化する「回収支援証明書」の発行も開始しました。海洋ごみ回収への貢献を、具体的な成果として伝える仕組みが生まれました。
さらに、すでに自然環境へ流出し、河川を流れているごみを回収するため、河川向け回収装置の開発・運用に着手しました。
モザンビークでは海上回収装置の実験を開始し、国内で培った技術を異なる自然環境で活用するための検証も進めました。
累計回収量は2,000kgを超え、回収、記録、証明、再資源化をつなげる仕組みづくりが本格化しました。
2025年
河川ごみ回収装置の実証と、継続可能な地域モデルづくり
すでに自然環境へ流出し、河川を流れているごみを効率的に回収するため、河川ごみ回収装置「kawasemi」の実証を本格化しました。
季節、水量、天候、設置場所の違いを検証しながら、回収効率、安全性、設置・撤去方法、維持管理、地域との協働体制を改善しました。
海洋ごみMAPへのデータ蓄積、回収支援証明書の発行、再資源化パートナーとの連携も進み、活動は単発の清掃から、継続的に運用できる回収モデルへと発展しました。
神戸をはじめとする国内での活動や、海外地域との連携も広がり、2030年以降の本格的な海洋ごみ回収に向けた土台が整い始めました。
2026年
回収を担う組織として、次の成長基盤を整える
クリーンオーシャンアンサンブルは、すでに自然環境へ流出した海洋ごみの回収に、より明確に軸足を置きます。
河川、海岸、海上、海底に存在するごみの回収から、分別、計量、記録、再資源化までを一体として捉え、回収活動を継続的に拡大できる基盤を整えます。
海洋ごみMAPについては、単なる活動記録ツールではなく、回収場所、日時、重量、分類、回収方法、処理先、再資源化先などを共通の基準で蓄積し、回収成果を可視化・証明できる基盤へと進化させます。
河川、海岸、海上、海底、ゴーストギア、マイクロプラスチックなど、回収対象と必要な技術を整理し、技術開発・実証の優先順位を明確にします。
流出量の削減を主導する企業、行政、廃棄物管理事業者、研究機関、地域団体とは、役割を分担しながらデータや現場知見を共有します。
2030年以降の本格的な回収に向けて、技術、人材、資金、パートナーシップの基盤を構築します。
2027年
回収を「証明できる実績」に変える
海洋ごみMAPを、回収活動の成果を蓄積し、社会に示すための回収実績基盤へと発展させます。
写真、位置情報、日時、重量、ごみの分類、回収方法、参加人数、処理先、再資源化先などを共通の基準で記録し、活動データの信頼性を段階的に高めます。
クリーンオーシャンアンサンブルだけでなく、国内外の市民団体、学校、企業、地域の回収者とも連携し、これまで個別に行われてきた海洋ごみ回収を、比較・集計・検証できる社会的インパクトへと変えていきます。
また、流出量削減を担う企業、行政、研究機関などのデータと、私たちが蓄積する回収データを接続し、対象地域の海洋ごみが増えているのか、減り始めているのかを評価する方法を設計します。
2028年
回収困難な流出済みごみへの技術実証を広げる
河川を流れるごみ、海岸漂着ごみ、海上漂流ごみ、海底ごみ、ゴーストギア、マイクロプラスチックなど、既存の方法だけでは回収が難しいごみへの技術実証を広げます。
研究機関、企業、漁業者、ダイバー、海洋技術の専門家などと連携し、回収量、安全性、環境への影響、運用コスト、維持管理のしやすさを現場で検証します。
すべての技術を自分たちだけで開発するのではなく、それぞれの専門性を持つパートナーと共同で開発・実証します。クリーンオーシャンアンサンブルは、現場、回収データ、運用ノウハウを提供します。
技術的な新しさだけでなく、実際に回収量を増やせるか、継続的かつ安全に運用できるかという観点から有望な技術を選定し、次の実装段階へ進めます。
2029年
回収・定量化・再資源化のモデルを標準化する
回収技術、現場での運用、分別・計量、海洋ごみMAPへの記録、回収支援証明書、再資源化、活動資金の確保までを、一つの回収モデルとして標準化します。
地域ごとの自然条件やごみの特性に応じて調整しながらも、回収成果を同じ基準で測り、比較し、積み上げられる仕組みをつくります。
流出量削減を担う企業、行政、地域団体などからは、それぞれの地域における流出量の推計や削減成果を共有してもらい、クリーンオーシャンアンサンブルは、流出済みごみの回収量を増やし、測定・記録・証明する役割を担います。
両者のデータを組み合わせることで、対象地域に存在する海洋ごみの総量が増えているのか、減り始めているのかを判断できる状態を目指します。
国内外の複数地域でこの回収モデルを運用し、2030年以降の本格的な流出済み海洋ごみ回収に向けた準備を完了します。
2030年
流出済み海洋ごみの本格回収フェーズへ
2030年以降、クリーンオーシャンアンサンブルは、すでに自然環境へ流出し、河川、海岸、海上、海底に蓄積した海洋ごみの本格的な回収を進めます。
新たなごみの流出量削減は、企業、行政、廃棄物管理事業者、研究機関、地域団体などが主導します。
私たちは回収側の中核として、回収量を増やすこと、測ること、続けること、広げることに責任を持ち、流出済みごみを減らすための仕組みを社会実装します。
海洋ごみMAPを、世界各地の検証可能な回収実績を蓄積する共通基盤へと発展させ、回収技術、地域の回収者、企業や財団による資金、研究者の知見、再資源化先をつなぎます。
流出量削減を担う主体と連携し、対象地域において、社会全体の年間回収量が年間流出量を上回る状態をつくります。
その差を毎年積み重ねることで、過去から自然環境に残されてきた海洋ごみの蓄積を、実際に減らし始めます。
2030年は、「海洋ごみゼロ」を達成する年ではありません。
海洋ごみの増加を抑える段階から、すでに存在する海洋ごみを本格的に減らす段階へ移行する年です。
2035年
複数地域で、海洋ごみの蓄積が減少する状態を実証する
複数の対象地域において、流出量削減を担う主体と、流出済みごみの回収を担う主体が連携し、年間回収量が年間流出量を継続的に上回る状態を実証します。
クリーンオーシャンアンサンブルは、河川、海岸、海上、海底に存在するごみの回収と、その成果の定量化、記録、証明、再資源化を担います。
毎年の回収量と流出量の差を積み上げ、過去から蓄積してきた海洋ごみが実際に減少していることを、海洋ごみMAP、現地調査、第三者による検証を通じて示します。
そこで得られた技術、測定方法、運用ノウハウ、資金調達の仕組みを公開し、他の地域でも導入できる回収モデルとして展開します。
2040年
流出済み海洋ごみの回収インフラを世界へ広げる
世界各地の回収者、NPO、企業、研究機関、自治体、漁業者、地域コミュニティが、それぞれの地域に適した技術と共通の定量化基準を使い、海洋ごみを継続的に回収できる国際的なネットワークを構築します。
クリーンオーシャンアンサンブルが、世界中のすべてのごみを直接回収するのではありません。
回収を担う地域の人々と、回収技術、データ基盤、活動資金、研究知見、再資源化先をつなぎ、各地域の回収能力を高めるプラットフォームとしての役割を担います。
海岸だけでなく、河川、海上、海底、ゴーストギア、マイクロプラスチックなど、これまで回収が難しかった領域でも、持続可能な回収が日常的に行われる社会基盤を広げます。
海洋ごみ回収を、一時的なイベントや善意だけに依存する活動から、社会に必要なインフラへと進化させます。
2050年
海に流出したごみを、世界で取り戻し続ける
2050年、海洋ごみを出さないための取り組みと、流出してしまった海洋ごみを回収する取り組みが、それぞれの専門性を活かして機能する世界を目指します。
企業、行政、廃棄物管理事業者、地域社会などが新たな流出量の削減を主導し、クリーンオーシャンアンサンブルは、流出済み海洋ごみの回収技術、定量化、可視化、証明、再資源化、活動資金をつなぐ国際的な回収基盤を担います。
世界各地で、社会全体の年間回収量が年間流出量を上回る状態を継続し、その差を積み重ねていくことで、過去から蓄積してきた海洋ごみを着実に減らします。
海に流出してしまったごみを、回収困難という理由で放置しない。
海洋ごみの回収が、一時的な善意ではなく、社会に不可欠な仕組みとして続いていく。
小豆島から始まった挑戦を、世界の海を取り戻す大きなアンサンブルへ。
次の世代に、美しく豊かな海を引き継ぐために、私たちは流出してしまった海洋ごみを回収し続けます。